強引上司がいきなり婚約者!?

私は彼らの話を聞きながら、せっせとカウンセリング用紙にメモをしていく。


注文住宅の場合、土地決めというのは本当に大変なのだ。

なかなか条件を満たすところが見つからなくて、妥協しなくてはならないケースも多い。


「みなさん土地探しでは苦労なさるんですよ。でも、一番大事な初めの一歩ですから」


兎川さんはそう言って、どんよりオーラのふたりを励ますようにキラキラスマイルを振りまく。


こうして見ると、爽やかなのに隙のない兎川さんは、初対面でもなんとなく仕事のできそうな印象があるかも。

ピシッと着こなしたスーツや、ブランド物のネクタイや、高級そうな腕時計も、私は単なる彼の趣味かと思ってたけど、やっぱり安物を身につけている人よりも信頼感がある。

だって、この人から家を買おうとしてるんだもんね。

一生物のお買い物をするパートナーなんだ。


私は兎川さんと金森夫婦の会話を聞きながら、せっせとメモを書き留めてそんなことを思った。

しかもさすがの兎川主任で、質問事項を全部自然な会話で聞き出しちゃうの。


「とにかく、こちらでも探してみます。1週間、お時間をいただけますか」


彼がそう言って締めくくる頃には、ふたりとも少し希望を見出したような表情だったのが忘れられなくなった。
< 37 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop