強引上司がいきなり婚約者!?
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約束の週末、土曜の午前11時。
【社内恋愛法度】の第2項に従って、私は主任から花嫁教育を受けることになった。
待ち合わせ場所は私の家のすぐ近くにある大型スーパー。
兎川さんはそこにブラウンのドイツ車に乗って現れた。
休日の兎川さんはラフなシャツに細身のパンツを合わせている。
それだけなのに、なんていうか、セクシーな男の人って感じがするんだよね。
いつもはオールバックになっている長めの前髪が、はっきりした二重の目元に影を落としているところとか。
いつもはきっちり着こなしたスーツに隠されてる、男の人らしい腕とか、首筋とか。
買い物カゴを持ってスーパーの中を歩く兎川さんをこんなに近くで見ることになるなんて、ちょっと前までは全然想像してなかった。
兎川主任ファンの女子社員たちが見たら、卒倒ものに違いない。
ギャップ萌えってやつね、コレ。
そんなことを考えながらジッと兎川さんを観察していると、隣を歩く私の視線に気づいた彼がこちらを見下ろした。
主任がひょいっと片眉を上げる。
「なんだよ」
「なんか、変な感じだなーって思ってました。オフの主任と休日にスーパーで買い物って」