強引上司がいきなり婚約者!?

「って、言ったらどこまで信じる?」

「ウソなんですか?」


私はつつかれた鼻を押さえて彼を見上げる。


「さあな。小枝が俺の嫁になったら、ちゃんと教えてやるよ」


前髪の隙間からきれいなアーモンド型の両目に強い視線を向けられた途端、心臓が動くのをやめた。

それで私は、一瞬反応が遅れてしまう。


兎川さんの冗談ってわかりにくい。
なんでそんな、真剣な顔して言うんですか。


「な、ならないですよ」


弱々しい声で否定すると、兎川さんは「どうかな」と愉快そうに笑って首を傾げた。


それから私がこの豪華な部屋(と、なんかセクシーな兎川さん)に慣れて落ち着くと、ふたりでキッチンに並んだ。

兎川さんのお部屋はキッチンも広くて使いやすそうで、料理の苦手な私もここになら毎日立ってもいいのになんて思う。


レッスン初日の今日は超初心者マークの私に合わせて、たらこオムライスの作り方を教えてくれるんだって。

ちょっと不思議なチョイスだなと思ったけど、よくよく聞いてみればそれが兎川さんの好物らしい。

何気にかわいいところもあるんだ、なんてこっそり頬を緩ませたら、また彼との距離の測り方がわからなくなっていた。
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