強引上司がいきなり婚約者!?
「さ、長い間片思いしてた哀れな俺様に、正解を教えてくれ」
混乱する私を見下ろして、兎川さんが不敵に笑う。
でも、だけど……。
たとえ私がこの人の仕掛けた罠にまんまと引っかかったんだとしても、もしも彼が本当にずっと私を好きでいてくれたなら、怒るまでもないかもしれない。
兎川さんはハンドルに両腕を乗せ、ジッと私の目を覗き込んでくる。
「せ、正解……です」
「なんだって?」
「うっ、兎川さんが好きです!」
弾かれたように大きな声で言うと、兎川さんが手を伸ばして私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
子どもみたいに褒められて、ふわふわとどこかへ飛んでいきそうになる。
「それじゃ、ニセモノの恋人ごっこは終わりだ。俺たちはようやく本物の社内恋愛を始める」
兎川さんは新たな船出を告げるようにそう言って、ギアをドライブに入れ、また車を走らせ始めた。
どこに行こうとしているのかは、なんとなく想像がつく。
きっと私も、連れて行って欲しいと思っている場所だ。