溺愛ドクターに求愛されて
太陽と月が重なる時

日枝神社を一歩出ると急に様々な音が聞こえてきて、私は驚いて越川先生の腕にしがみつく。


振り返ると、誰もいなかったはずの境内にはたくさんの人がいた。


怯えた顔をしてしまう私の背中に手を回した越川先生が安心させるように背中をゆっくりと撫でてくれる。


「大丈夫だよ。俺達の事、心配してくれたんじゃない?なかなか貴重な体験だよね」


そう言った越川先生が、意味深な笑みを浮かべて私の顔を覗きこむ。


「結婚式はここでしようか」


け、結婚式って。本気なのか冗談なのかいまいち分からなくて反応に困る私の頭を越川先生が撫でる。


「俺は、沙織となら結婚したいと思ってるよ。時期を見てちゃんとプロポーズするから楽しみにしてて」


そういえば東京で再会して越川先生の家に行った時も結婚してもいいって言ってたけど……本気だったんだ。


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