溺愛ドクターに求愛されて
その後ろ姿を見送って、ため息をついた私も処置を行うべくナースセンターを出て病室に向かう。
「海老根さん、点滴変えますね」
この患者さんは呼吸器がついてるから意識はないけど、ちゃんと声をかけてから点滴を交換する。
一応それが私のポリシーだ。意識がなくても耳って意外と聞こえてたりする。
時計を見ながら点滴の落ちる速度を調整していると後ろに人の気配がして私は振り返った。
病室の入口に立っているその人を見て、驚きすぎて壁に身体をぶつけた私を見てその人は低い声を漏らして笑った。
「久しぶりだね、沙織。本名は大谷沙織っていうんだね。看護師だったとは、驚いたな」
青い術衣に白衣を羽織った裕介さんが私を見て微笑む。
「な、なんで……ここに」
私がそう言うと裕介さんは肩をすくめて困ったように笑う。