同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「うん、すごいよ嵐。なんかひと回りもふた回りも成長した気がする」
「え。……いまだに身長伸びてる?」
「あはは、見た目じゃないよ。でも、それもあったりして」
ふたりで笑いあっていると、揚げたての天ぷらとお蕎麦が運ばれてきた。
私たちはとりあえず会話を中断して、「いただきます」と手を合わせる。
つかんだ箸をまずはお蕎麦のほうに伸ばしつつ、心の中で思う。
こんな風に、嵐と自然に会話できる自分に少し驚いた。
誘いは受けたものの、気まずい空気になるんじゃないかと心配してたけど、大丈夫みたい。
「でもさ……実は俺、今度この仕事辞めて、岡山帰ることにしたんだ」
つるつると勢いよくお蕎麦を啜っていた私は、嵐の衝撃発言に思わず喉を詰まらせた。
「……なっ、なんで?」
「親父が腰悪くしたらしくてさ……お袋も歳だし、俺に店手伝って欲しいみたいで」
「そう、だったんだ……」
嵐のご両親は、地元で喫茶店を営んでいる。
小さいけれどあたたかみのある素敵なお店で、一度お邪魔したことがあるけれど、こだわりのブレンドが美味しかったことを覚えている。
「……みちるも、一緒に帰らんか?」
「え?」
今、なんて……?
パッと正面を向けば、嵐は箸を置いて真剣なまなざしを私に向けている。
「みちるが東京(ココ)で仕事頑張っとるのは、地元でも有名な話じゃけん知っとる。でも、それは俺が別れるときに言うたことが原因かもしれん思うてて……もしそうなら、一緒に岡山帰って、やり直してくれんか? 俺、みちると別れたこと、この五年ずっと後悔しとって……」
「嵐……」