同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
私は床にぺたりと座り、ベッドに頬杖を突いて比留川君の横顔を眺める。
「どうしてそんなになるまで海にいたの……?」
比留川くんは頭のいい人だし、無茶をするようにも見えない。
だから、玄太さんの話がいまいちピンと来ないんだよね……。
「……難波の……せい、だろ」
そのとき、ベッドの上からとぎれとぎれの声が聞こえてきた。
私は思わず立ち上がり、ぼんやり薄目を開けた彼に声を掛ける。
「比留川くん! 起きてたの? 大丈夫?」
「大丈夫……じゃない。隣、来て。寒い」
いつになく頼りない表情で甘えた声を出す比留川くん。
そ、添い寝しろってことでしょうか。
今の彼は病人だし、要求にはできるだけ答えてあげたいけど……。
「え、と。そ、それは……」
彼にとってはただの湯たんぽ代わりかもしれないけど、こっちは色々意識しちゃう。
ベッドの脇に突っ立ったままモジモジしていると、布団の中からスッと熱い手が伸びてきて、手首をつかまれた。
「……警戒してんの?」