同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~


「彼が私をどう思ってるのかは分からずじまいだったけど……なんか私が好きになればなるほどすれ違っちゃったんだよね。それで、最後は自爆。地元が岡山だってこと、彼にもずっと隠してたんだけど、捨て台詞で岡山弁かまして、ジ・エンド。きっと今ごろ、騙されてたー!って怒ってるよ。
あーあ、明日から会社どうしよう。あと、泊まるところも……」


ため息と嘆きばかりの私に、八重ちゃんも困ったように眉毛を下げていた。

私って本当にダメな先輩。後輩に迷惑と心配ばっかりかけて、これでお客様相談室室長なんて、肩書きが泣いてるよ。


「先輩、元気出してください。ゲームやりますか? アブ刑事」


そう言って、携帯用ゲーム機を差し出してくる八重ちゃん。
彼女なりの慰めに、少し心が救われる。


「……うん。やる」


こうなったら二次元に逃げてやる。比留川くん似の黒岩隼人をガッツリ攻略してやるんだ。


明日からは会社だから、いやでも比留川くんと顔を合わせる。

彼には『普通にするから』――なんて言ったものの、実際本人を前にして、冷静でいられる自信はない。

でも、仕事には引きずらないようにしないと……。


私は色々な不安から逃れるように、ゲームに没頭した。

八重ちゃんの家に迷惑をかけたくないと食事もコンビニで調達したため、二次元ルームにほとんど引きこもり。

それでも、比留川くんのマンションを飛び出す直前の彼との言い合いやその時の痛みが時折フラッシュバックして、私を苦しませるのだった。


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