同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~


「……ここか」


指定されたカフェの前でタクシーを降り、俺はひとり呟く。

外からガラス越しに見える店内を確認すると、窓際に向き合って座るみちるとあの男が見えた。

意を決して店内に入ると、店員の「いらっしゃいませ」なんか無視して大股でふたりの座る席へと歩いていく。

みちるが先に俺の存在に気付き、驚いたような顔をして俺の名を口にする。


「比留川くん……」


その声に反応した男もこちらを振り向く。闘争心むき出しの顔をしているであろう俺に対し、腹が立つくらいに余裕の微笑を浮かべているみちるの元彼氏。

体格がよく、俺より背も高いことは昔から変わっていない。

……肉弾戦になったら俺に勝ち目はないとでも?

思わずイラついて睨むような視線を送ってしまうが、彼はそれを難なくかわしてみちるの方を向く。


「よかったな、来て。しかも、すげぇ怖い顔で」


みちるはそれには答えずただ顔を赤らめ、大きな瞳を潤ませて俺を見上げる。

……なんだそれ。

可愛い、とか思ってる場合じゃないんだろうけど、可愛いっつーの。

しかし、その熱いまなざしの意味がわからない。

困惑して立ち尽くす俺のもとに、席を立った男が歩み寄ってきてポンと肩を叩く。


「……比留川、だっけ。俺は甲本だ。ちなみに、俺が電話でなんて言ったのか覚えてるか?」


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