同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
『よく、わからないんだもん……比留川くんの考えてること』
みちるはちゃんと、そう訴えてくれていたのにな。
俺はゆっくり彼女の方に向き直り、質問の答えを告げる。
「……そうだ。俺は、誰より大切なみちるをどこにも行かせないために、ここに来た」
みちるの瞳にみるみる涙が溜まり、最後にくしゃっと泣き顔になった彼女の口から、くぐもった声が出る。
「比留川、くん……」
その反応を見て、今まで俺がハッキリしなかったせいで彼女を傷つけていたことに申し訳なさがこみ上げる。
「……ゴメン。それくらいわかってるもんだと思い込んでて」
「わかんないよ……言ってくれないから」
「うん。……だよな」
俺は自嘲をこぼし、泣いているみちるの頭を撫でてやりたい衝動に駆られたが、ここにいるもう一人の存在を思い出し、そいつの方をちらりと見る。
「あー、いいよ俺のことは。もう帰るし。俺は、みちるが幸せならそれでいい」
「ゴメンね、嵐……それと、ありがとう。地元に帰ったら、絶対お店行くね」
「ああ。でもしばらく時間置けよ? みちるに振られたダメージけっこうでかいんだから」
「……ゴメンね」
何度も謝るみちるに、「ゴメンは聞き飽きた」と穏やかに告げた甲本は、俺たちに背を向ける。
こいつ、思っていたより悪い男じゃないみたいだ……。
というか、やはり俺は嫉妬していただけなのかもしれない。
大学時代、俺が欲しかったみちるの笑顔を傍に置き、それなのに彼女を泣かせて捨てた甲本に。