同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
みちるの前では気丈にしていた甲本だが、その背中にはどことなく寂しさが漂っていて、俺は呼び止めるかどうか一瞬悩んだ。
頼んだわけでもないのに余計なお節介をされたことは心外だが、甲本のお膳立てのおかげでみちるに気持ちを伝えられたのは事実。
しかし、こんなことで感謝されてもプライドが傷つくだけだよな……。
俺は迷ったのち、何も言わないことを選んだ。
きっと、甲本とみちるの関係はこれからも友達という形で続く。その間に、俺がみちるに相応しい男なのかどうか、彼自身に判断してもらえばいい。
……見てろよ。俺が、みちるを必ず幸せにしてみせるから。
甲本が店から去ると、俺はコーヒーを頼んでみちると改めて向き合った。
恥ずかしいのか視線を合わせようとせず、テーブルの上のカップばかり見つめているみちるに、俺は静かに声を掛ける。
「……さて。何から話してほしい?」
もう、隠すことは何もない。みちるが知りたいことにはなんでも答えてあげたい。
彼女はしばらく視線をさまよわせたあと、おずおずと俺に視線を合わせてためらいがちに口を開く。
「……さっき、言ってくれたこと……夢じゃ、ないんだよね」
まだ半信半疑らしい彼女の様子に、ふっと苦笑が漏れる。
「そんなに信用ないか、俺」
「違うよ、そうじゃなくて……! 私、ずっと嘘ついてたし、嫌われてもしょうがないと思ってたから……」