同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
八重ちゃんの顔に手を伸ばして、スッと眼鏡を取り外した吉沢さん。
わー、私も八重ちゃんの素顔見てみたい……!
畳の上をすすす、と移動して、彼女の正面に回る。すると私の目に映ったのは、ダサいの化身なんかじゃなかった。
「……やっぱり、ね」
吉沢さんはしたり顔でうなずいているけれど、私は驚きを隠せない。
だって、あの八重ちゃんがこんなに美少女だったなんて……!
黒髪おかっぱ頭もこうなるとよく似合っていて、黒目がちな瞳が可愛らしい和製プリンセスがそこにいる。
社長の隣に並んだって、きっと引けを取らない。
「すごいよ八重ちゃん! 可愛い! 明日からコンタクトにしよう! これ上司命令!」
「俺もその方がいいと思うな。あとは、そうだな……今度食事でも誘ってみるよ」
「先輩、部長……あ、ありがとうございます!」
今まで眼鏡に隠されていた大きな瞳を潤ませて、八重ちゃんが深々と頭を下げる。
そんな可愛い後輩の頭をぽんぽん撫でながら、思う。
なんだか羨ましいな。好きな人のために自分を変えたい、か……。
私もある意味好きな人のせいで今の自分に“変わった”わけだけど……それって全然ポジティブな意味じゃないし、だいいちその人のことはもう好きじゃない。
ただ、失恋の傷だけがいつまでも消えなくて……。