同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
胸の内を明かして晴れやかな八重ちゃんとは対照的に、私は飲み会が進むにつれてなんだか元気がなくなってきて、テーブルに肘をつき手酌でビールを飲んでいた。
そんな絡みづらい雰囲気を醸し出す私のもとからはだんだん人がいなくなり、どんどん寂しい奴に成り下がっていく。
虚ろな目で周囲を観察すると、八重ちゃんは吉沢さんとの作戦会議に夢中。
ほかに親しい人といったら理央だけど、彼女は同じ課の女子社員で固まってキャッキャとガールズトークをしている。
そうだ、比留川くんは……?
私がその姿を捜しはじめたのとほぼ同時に、隣にストンと腰を下ろした男性社員がいた。
それは、今まさに私が心に思い描いていた人で。
「さっきからつまんなそうだけど、平気? 飲み過ぎて気分悪いとか」
何気なくそんな言葉をかけてくれる彼に、トクンと胸が鳴る。そして酔いのせいもあるのか、頬にじわじわと熱が集中してくる。
さっきから……って、いつから私のこと見ていたんだろう。
気恥ずかしくて彼を直視できず、正面を向いたままで聞く。
「う、うん。平気。お酒、強いほうだから。比留川くんは、飲んでる?」
「あんまり。酒は好きなんだけど、実は大勢の飲み会って苦手でさ」
こっそりと本音をこぼす彼がちょっと可愛く思えて、私は微笑む。