同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~


「ふふ、なんか比留川くんぽい」

「なんだよそれ」


不服そうに言った彼が私の方を向き、つられるようにして私も彼のことを見る。

視線が合ったのに彼は何も言わず、ただじっと私の顔を凝視している。

な、なんだろう……。怒らせちゃった?

にしても、そんなに見つめないでくれないかな。

こっちはつい最近あなたを意識し始めたところなんだから、心臓に悪いです。


「比留川くん?」


沈黙に耐えきれず、小さく呼びかける。

それでも私に視線を注いだままの彼は、真顔で突然こんなことを聞いてきた。


「あのさ……こないだ、会議で俺の隣に座ってた、秘書課の人と……親しいの?」

「……秘書課?」


すぐにはピンと来なくて一瞬固まったけど、思い当たる人が一人いた。


「もしかして、久我さん?」


その名前に比留川くんは頷き、テーブルの上に手を伸ばすと揚げ物の盛り合わせの中から鶏軟骨を選んで口に放り込む。

それを荒っぽく咀嚼する仕草は少し不機嫌そうに見えるけれど、普段からあまり表情のない比留川くんのことだから、気のせいだろう。

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