同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
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「あーあ、つぶれちゃった。迅、どーすんの?」
ふわふわしてぼうっとして、とても気持ちがいい反面重くなってきた頭をカウンターにくっつけていると、玄太さんの声が耳に入った。
私、つぶれてないですよ? そう言いたいけれど、頭を持ち上げることができない。
お店の中は、いやに静かだ。お肉をじゅうじゅう焼く音もしないし……もしかして、そろそろ閉店なのかな。
「……どうすると思う?」
比留川くんだって同じくらい飲んでいたはずなのに、素面の時と変わらない、落ち着いた声。
「そりゃ、本気なら止めねぇよ。でも、お前ホントにあの子のこと吹っ切れたわけ?」
何の話……? もしかして、比留川くんの、過去の恋愛の……。
「……吹っ切れてない」
少しの間をおいて、静かに白状した比留川くん。
私は酔いのせいでその言葉の意味をうまく処理できず、ぼんやりとふたりの会話だけを聞く。
「マジか。……でも、みちるちゃんは? あんま気ぃ持たせたら可哀想だろ」
「……ちょっと、似てるんだよ」
「似てるって……あの子にか?」
「ああ」