同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「……え? 約束?」
どうしよう、全く記憶にございませんけど。
背筋に冷や汗が伝うのを感じつつ、笑顔で首を傾げてみれば、彼はかすかに口元だけで微笑んで、爆弾発言を投下した。
「そ。俺と一緒に住も」
な、なんですと……?
ぽかんと口を開けて固まる私の間抜け面を見て、比留川くんはため息をつく。
「……覚えてないみたいだな。もしかして、昨夜のこと全部忘れたとか?」
「ええと、焼き鳥屋さんに行って、飲んでたことまでは、覚えてるんだけど……」
ごにょごにょと言葉を濁しつつ、やはり気になるのは裸の理由である。
「あの……私たちって、その……し、シた……?」
こわごわ尋ねると、比留川くんは呆れたように苦笑する。
「それも覚えてないのか」
「ゴ、ゴメン……!」
「……してない。難波が服脱いで誘ってきただけ」
「へ?」
な、なにそれ。私ってばそんな痴女みたいな真似を……!?
かああ、と全身の血が顔に集中してくる。
でも、ちょっと待って。そんなあからさまに誘ったにもかかわらず“してない”ってことは、比留川くんは少しも心が動かなかったってことだよね。
男性的な欲情に駆り立てられることもなく……きっと私のこと、冷めた目で見ていたに違いない。