同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
そこまで考えて、頭の上に石でも乗せられたようにずーんと落ち込む。
「……本当は、ありがたく頂いてやろうかと思ったよ」
しかし、ぼそりと呟かれた言葉に反応して、すぐに顔を上げる現金な私。
「でも、あのときの難波は、意地になってたように見えたし……俺の方も、まだちゃんとした気持ちがあるわけじゃないから、無責任な事できなかった」
「意地……?」
「そう。これも覚えてるかわかんないけど、難波、俺と玄太の会話聞いて、急に積極的になったみたいだから」
比留川くんと玄太さんの会話……あ、なんだか思い出せそう。
確か、私のこと、誰かの“代わり”だって……。
そうだ。私、その人に勝ちたくて、ここに来たんだ。
「……ちょっとだけ、思い出した。比留川くんの好きだった人? ……と、私が似てるって」
「やっぱ聞いてたか。ゴメン、難波が寝てると思って、勝手なことばっか言って」
申し訳なさそうに言葉をこぼした彼に、私は黙ってかぶりを振った。
比留川くんはベッドから立ち上がり、くるりと私を振り返ってまっすぐ私を見つめる。
「でも、難波自身のこと、気になってるのも本当」
トクン、と優しく胸が鳴る。
気になってる、だなんてかなり曖昧な表現なのに、ポジティブに受け止る自分がいる。
……やっぱり私、この人を諦めるなんて無理みたいだ。