同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
比留川くんの住む部屋は、十階建てマンションの七階。
間取りは2LDKで、ちょうどひと部屋空いているらしい。
食事のあと、その部屋に案内してもらった私は、西側の窓から東京タワーが見えることに感動しながら、ちょっと不思議に思う。
こんなに眺めのいい部屋を使ってないって……なんか事情がありそう。と思うのは考えすぎ?
だって、そもそも一人暮らしに2LDKもいらなくない?
私が上京したばかりの頃は東京の家賃の高さに目が飛び出してしまって、ワンルームを借りるのだって躊躇したのに。
「この部屋って……」
呟きながら、傍らに立つ比留川くんを見上げる。
私以外に、使う予定の人がいたんじゃないの? ……なんて、聞けるわけない!
でも、中途半端に発してしまった言葉の後始末をつけなきゃいけなくて、こんなつまらない質問を投げかける羽目に。
「な、何畳?」
「あー、確か6.5とかだったかな。俺の寝てる部屋とほぼ同じ」
「そっか。……ベッドとか、どうしよう」
二子玉川の私の家からここまで、自分たちで運ぶのは無理だよね。引っ越し業者に頼んでもすぐには来てくれないだろうし……。
「前のは処分して、新しいの買えばいいんじゃない? ……それか、毎晩俺のベッドで一緒に寝るか」
「えっ!?」
素っ頓狂な声で過剰な反応を示してしまった私に、比留川くんが吹き出す。