同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~


「これ、いいなー……」

「買えば?」

「え? で、でも……」


とある雑貨屋で、私が手に取ったのは、ペアのマグカップ。取っ手の部分がさりげなくハート型で、いかにも恋人用というデザイン。

一緒に住むとはいえ、こういうのを使うのはまだ早いよね……と、私は諦め半分だったのだけれど。


「今朝、ちぐはぐなカップにコーヒー入れるのなんか微妙だったし……俺ら、いちおうそういう関係に向かってくわけでしょ?」


素直にコクンとうなずくと、比留川くんがふっと目元を緩めて笑う。


「じゃあいいじゃん。毎朝これでコーヒー飲も」

「……うん」

「じゃあ俺が買ってくるよ」


ふたつのマグカップを彼に渡し、レジに向かう背中を見つめる。

私たち、なんだか新婚さんみたいだな……。毎朝一緒にコーヒーを飲もうだなんて、それこそプロポーズの言葉にありそうだし。

……って、気が早すぎ!

まだちゃんとお付き合いすらしてないんだから、そんな深い意味はないって。

店内で一人、ぶんぶん首を振って頭を冷やす。


< 44 / 236 >

この作品をシェア

pagetop