同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「これ、いいなー……」
「買えば?」
「え? で、でも……」
とある雑貨屋で、私が手に取ったのは、ペアのマグカップ。取っ手の部分がさりげなくハート型で、いかにも恋人用というデザイン。
一緒に住むとはいえ、こういうのを使うのはまだ早いよね……と、私は諦め半分だったのだけれど。
「今朝、ちぐはぐなカップにコーヒー入れるのなんか微妙だったし……俺ら、いちおうそういう関係に向かってくわけでしょ?」
素直にコクンとうなずくと、比留川くんがふっと目元を緩めて笑う。
「じゃあいいじゃん。毎朝これでコーヒー飲も」
「……うん」
「じゃあ俺が買ってくるよ」
ふたつのマグカップを彼に渡し、レジに向かう背中を見つめる。
私たち、なんだか新婚さんみたいだな……。毎朝一緒にコーヒーを飲もうだなんて、それこそプロポーズの言葉にありそうだし。
……って、気が早すぎ!
まだちゃんとお付き合いすらしてないんだから、そんな深い意味はないって。
店内で一人、ぶんぶん首を振って頭を冷やす。