同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
翌朝は、七時ごろにスッキリと目が覚めた。
朝から衣類や化粧品中心に荷造りをし、大きなキャリーバックに詰めて十時ごろに比留川くんのマンションに着いた。
鍵を渡されて初めてそれを使うのは、なんて勇気のいることなんだろう……。
ぷるぷる震えそうになる手でなんとかドアを解錠し、キャリーバッグを転がしながら玄関に足を踏み入れる。
「おじゃましまー……す?」
その時、何気なく目に入ったのは、玄関に脱ぎ捨てられた女物のパンプスだった。
爽やかなミントグリーンのローヒール……。これ、いったい誰の?
胸の内に、もやもやとしたものが立ち込める。
キャリーバッグはとりあえず玄関に置いたまま、足音を殺して廊下を歩く。
すると、比留川くんの寝室へ続く扉が、まるで“覗いてみろ”と誘惑するかのように数センチだけ開いていた。
いやな予感しかしないけれど、そっと顔を近づけて、中の様子に目を凝らす。
見えたのは、おそらく比留川くんがそこにいるのであろう盛り上がった布団と、その上に馬乗りになる小柄でポニーテールの女性。
身に着けている半袖のTシャツから、小麦色の引き締まった細い腕が伸びていた。
「じーんー! なんなの、昨日一緒にいた女って!」
「……昨夜から何度も説明してるだろ」
「納得できないの! 迅が新しい恋なんてできるわけないもん!」