同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「……よかったな。さぁ気を取り直してもっと食え。俺のおごりじゃねぇけどな」
隣の久我さんに背中をポンとたたかれて、思わずじろりと彼を睨む。
「……久我さんからは何かないんですか?」
元はと言えばあなたのせいでばれてしまったんですけど。
「ああ? こないだ飴をやっただろ」
「それとこれとは……あ!」
頭の中で、ぴかーんと電球が灯る。私ってばいいこと思いついちゃった。
向かいで食事をする八重ちゃんと社長が二人だけで楽しそうにしているのを確認して、私はこっそり話し出す。
「久我さんって……今でも、管理課に顔利きます?」
「まあ……そりゃ今いる奴らは全員部下だったわけだから、多少はな」
「ぜひ、お願いしたいことが!」
ぱちんと両手を合わせる私に怪訝そうな久我さんだったけれど、事情を説明すると私の頼み事――部長に内緒でこっそり住所変更したい件について、引き受けてくれることになった。
「……吉沢は、そういう話好きだからな。確かにばれると面倒だ。お節介だし」
「そういえば……この会も部長がセッティングしてくれたんですもんね」
そう言って、テーブルの向こう側で顔を真っ赤にしながら社長の話に相槌を打つ八重ちゃんを眺める。
彼女にとっては吉沢部長が協力者でよかったんだろうけど……私と比留川くんの場合、部長に知られたら仕事がやりづらくなるのは確実だ。
同居のこと、絶対ばれないようにしなくちゃ……。