同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
一緒にダイニングに向かった彼は、スーツのジャケットを脱いでネクタイを解くとすぐ配膳を手伝ってくれた。
「残業してたんだよね? 疲れてるんだから座ってていいのに」
テーブルに箸を並べる背中に言ってみたけど、彼はさらりとこう返す。
「二人でやった方が早いだろ? つーか、疲れてるのは難波も一緒だし」
「……ありがとう」
すごいなぁ。男の人の中には“やってもらって当たり前”みたいな人が結構いると思うんだけど、比留川くんは全くそういうタイプじゃないみたい。
元彼は亭主関白っぽいところがあって、私が料理して並べるまでずーっと座ってテレビを見ているような感じだった。
あの頃は学生だったし、私は尽くすのが好きな方だから、特に苦には思ってなかったけど……。
「……うまい」
食事の支度が整いテーブルを挟んで向かい合った頃、肉じゃがをひと口食べるなり、比留川くんが呟く。
「よかったー……いちおう味見はしたけど、口に合うか心配だったの」
「これやばいな。料理はできれば交代制というかお互い平等に、と思ってたけど……難波のターンばっかりになりそう」
「あはは、いいよ別に。料理好きだし」
そう言ってもらえるだけで作った甲斐がある。
それから和やかに食事は進んでいき、食べ終わるとふたりで食器を片付けた。
キッチンに並んで立ち、私は洗い物を、比留川くんが食後のお茶を準備しているとき、ふいに彼が切り出す。
「難波にさ……お願いあるんだけど」
「お願い?」