箱入り娘と黒猫王子
最初は褒めて、相手に条件を合わせる。
勧誘のテンプレだな。

それでも言葉を濁す1年。
……珍しい、俺のの勧誘でもこんな顔するやついるんだな。余計面白い。絶対欲しい。

この手はあんま好きじゃねぇんだけど、
茉夏も見てねぇし、



「お願い…ダメ?」



眉を下げて上目遣い、声を小さめに、って少し計算が入りの情に訴えるパターン。
この手の女はこの「困った人」に弱いはず。



「っ…!」



これは、落ちる…



「高嶺、その子がさっき言ってた…」



突然の絃晴の声に、そちらを向く。
良かった…茉夏は奥でそのまま仕事してんな…。
えっと、あ、


「そう言えば…名前は?」

「あ、久我、花です…」

「ふら、わ…?変わった名前だね、可愛い。」



DQNネームだな。花って書いて〝ふらわ〟って。
て言うか、久我…って、もしかして…
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