箱入り娘と黒猫王子
「んぁ…?」

「あーさっ!起きて?」

「ん。…おいでふら」


顔は双子の兄のいっちゃんと瓜二つなのに、いっちゃんとは違った色気があるいっくん。布団を持ち上げて腕を広げてる。

パンツ1丁で寝るとお腹冷えないのかな…。


「おいでじゃない起ーきーて!」


ほっぺたを引っ張れば


「ってぇ!!痛ぇってふら!!」


ようやく目が覚めたみたい。


「おはよ」

「ったく、…はよ」


沢山穴があいた耳、舌と下唇にもあいてるけど、最近あんまりしてないな。ロック命のいっくんは、the爽やか青少年の兄、いっちゃんと違ってthe不良少年って感じ。

でも中身は意外とピュアで、可愛い物好きの怖いもの嫌い(本人は隠してるつもり)で料理はほとんどいっくんに習った。

頭をガシガシ掻きながら起き上がり、スウェットパンツを履いて階段を降りるいっくんの後ろをついていく。

これで実家暮らしの兄たちは全員。
午前7時10分。一日の始まり。
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