にゃおん、とお出迎え
クリスマスのカタセくんのプレゼント計画は、ヒトコトで言うと失敗に終わった。
失敗の原因の一つは隠した場所が奥の方だったってことかな。
オーナメントに紛れてしまった赤い石のついた指輪に、ミネちゃんは結局、片付けるときまで気付かなかったの。
カタセくんももうちょっとミネちゃんのこと分かってあげないと。
可愛くて優しいから、あたしはミネちゃん大好きだけどさあ。
でも、あたしを捕まえるときのあの力強さといい、カリカリご飯がこぼれても平気なとことか、結構大雑把で鈍感なんだから。
あのときのカタセくんったら見てられなかったなぁ。
「なあ、美音。この辺片付けてくれない?」
「えー、片瀬くんが持ってきたんじゃん!」
必死に指輪の位置をアピールするカタセくんは、さすがのあたしもかわいそうって思ったよ。
「みゃー」
「あ、モカちゃん、また倒さないでね!」
結局、あたしがツリーに近づいて行って、それを止めに入ったミネちゃんが、ようやく指輪の存在に気づいた。
「指輪? どうしてだろ。飾りにあったの?」
「あ、うん」
「やった! ラッキーだったね。貸して貸してー!」
ミネちゃん。
クリスマスツリーの飾りに指輪が紛れるわけないでしょ?
気づいてあげなよ。
あたしはカタセくんキライだけど、この時ばかりはかわいそうを通り越して哀れに思えたわ。
だって、それに続く言葉がひどかったんだもの。