にゃおん、とお出迎え

「あれー、私にはゆるいやー」

カタセくんも詰めが甘いよね。サイズくらい測っておきなよ。
サイズが合わないんじゃプレゼントにならないじゃん。

とにかく、それでカタセくんは言うに言えなくなっちゃって。

「俺、店に返しておくよ」
と情けなく笑って指輪をしまった。


その夜、カタセくんはずっとベランダでたそがれていた。

さすがにね、あんまりだって思ったから、あたしはミネちゃんに抗議しにいったの。

「みゃーお」
ミネちゃん。あれ、ミネちゃんへの指輪なんだよ?

でもね、ミネちゃんには全く伝わらなかった。

「なあに? あ、モカちゃんにもクリスマスプレゼントあるのよ? ほら、新しいリボン。同じ赤でも金色の縁取りがついてるんだよー」

「にゃーおん」
うん。それは素直にありがとう。
プレゼントって嬉しいね。
でもね。

「カタセくんにもプレゼントあるのになぁ。……ベランダから戻ってこないね」

寂しそうに言うミネちゃん。
うん。困ったな。
こう言ったらなんだけど、それの原因ってミネちゃんだから。

まあでも、カタセくんに度胸がないのもいけないのよ。
サイズが合わなくたって、プレゼントだよって言えばいいじゃない。
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