にゃおん、とお出迎え

必死に叫んだのに、あたしの気持ちは誰にも届かず、三人はにこにこしたまま何かお話しして、やがてセイシロウくんとミサちゃんは歩いて行ってしまった。

うう、もうだめ。あたしはもうニンシンになるの。

ミネちゃんの腕の中で力なく崩れ落ちるあたし。


「折角来たから、遊んでいこうか」


ミネちゃんは青い顔をしつつも、ベンチに座ってあたしを自由にしてくれたけど。

ああミネちゃん。ごめんね。あたし、病気になっちゃったみたいよう。
折角の公園だけど、帰ろう?


「にゃー」


元気の無く足元にすり寄るあたしに、ミネちゃんは不思議な顔をして抱き上げてくれる。


「疲れちゃったの? 変なモカちゃん」


そのまま、やっぱりまだお酒臭いミネちゃんに抱かれて、あたしは家まで帰った。



それから三日くらい。
あたしはニンシンってやつになるのかどうかドキドキしてたけど、何だか元気なままみたい。

あの子たちが間違えてたのね。
だったら、もっとセイシロウくんと仲良くすればよかったなぁ。


お日様の当たる窓際で丸くなりながら、あたしはあくびをひとつした。





【Fin.】

< 31 / 154 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop