にゃおん、とお出迎え


「……あーあ、また失恋かぁ」


ミネちゃんは座り込んで、大きなため息をつく。
そうね。今回の失恋は最速だったわね。

さっきの気持ちは、きっと経験談よね?
追いかけて追っかけてもらえないこと、たくさんあったんでしょう。

それでもあたしを追いかけるのをやめないミネちゃんって、素敵だと思う。
だからあたし、ミネちゃんが大好きよ。


やがて、こぉひぃさんと女の人が肩を並べながら戻ってくるのが見える。
手をつないでいるから、きっとうまくいったのかな。


「みゃーおん」
あーあ、残念。あたしも仲良くなるならこぉひぃさんがよかったのにな。

「コーヒー一杯飲んで帰ろうかな。モカちゃん、待っててね」


カラン、と音を立てて、ミネちゃんが店の中へ消えていく。

じゃああたしは、ここでこぉひぃさんが戻ってくるのを待とうかな。
レンガの上に乗って、あくびをしつつ「にゃおん」とひと鳴き。

今日は逃げずに待ってるね。
あたしたち、なんてったってシツレン仲間だもん。






【Fin.】



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