にゃおん、とお出迎え

 あたしの目の前にひらひらと落ちる、ピンクのもの。
捕まえたくなってうずうずして、手を伸ばすけど、ふわっとすり抜けて落ちていっちゃう。

そのうちに、あたしの花のあたりに落ちてきた。


「くしゅっ」


ムズムズしてくしゃみをすると、また、ふわりと浮かんで落ちていく。
これはサクラの花びらだ。

ミネちゃんと迎える、二度目の春。
あたしは、こおひぃさんのお店の脇にあるサクラの木の下でお昼寝中。

春のお昼寝おすすめスポットは、誰がなんと言おうとここ!

サクラの木が日陰を作ってくれるし、下にある花壇のレンガはなんとなく温かくて、とってもとっても、気持ちいいんだよう。

困るなってことがあるとすれば、花びらがくすぐったいってことかな。


今日はヘイジツってやつで、ミネちゃんはお仕事に行っちゃった。
本当はおうちでおとなしくしててね、って言われたんだけど、出てきちゃった。
だってあたし、イライラしてるんだもん。

最近、ミネちゃんが変なんだ。

おうちにいる時も、いつもソワソワしてるし。
電話が来るとウキウキして、あたしのことなんか見向きもしないで夢中になっちゃう。

しかも電話の相手があのカタセくんだからイヤになっちゃう。

恋のキセツってやつなのかな。
カタセくんは、ミネちゃんのこと好きって言ってたし。
ミネちゃんもカタセくんが好きになっちゃったのかな。

でもでも、ミネちゃんはあたしと仲良しなのにー!!
カタセくんとばっかり仲良くされたらイヤだよう。
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