ただあの子になりたくて


私もそうだ。

あんな壊れた家族のためになど、もう悩まない。

間違いなく王子を選ぶ。

蒼頑なになって黙り込む私の前で、彼の声は突然響いた。

「少し休憩にしません? この台に寝てるの、体痛くなっちゃって」

呆気にとられた。

台の上に腰かけ、ぺちゃんこになった紙をかき混ぜながら笑う蒼介。

緊張していた空気が一瞬にして変わる。

体操着姿でずらりと並んでいたみんなが、柔らかな顔になってどっと笑い出す。

やっぱり、蒼介だ。


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