ただあの子になりたくて


「あはは、そうよね。みんなー、休憩! 休憩にしましょー。そうしたら、気持ち入れ替えてまたがんばろー!」

監督の威勢のいい号令に、みんな緩み切った顔になり散っていく。

私はまだ、複雑な思いで、ぽつんと一人じっとところどころシミのある木目の床を見つめて、座り込んでいた。

だんだん雑談で盛り上がっていく教室内。

私はみんなに背を向け、窓辺で体育座りをしていた。

ふてくされて、膝小僧の上に顎をのせる。

恨めしく上を見上げれば、水色の空と刷毛ではいたような雲しか見えない窓があった。

やはり眩しさに負けて目を逸らす。

本当の椿なら一人こんなところに座ってなどいやしないだろう。

背中にさっきからひしひしと感じている。


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