ひと冬の想い出 SNOW
やっと慣れてきましたね、小鳥遊さん。
月日が流れるのは早い。


幽霊になって1ヶ月がたった。


この生活にも慣れてきた。


今日は金曜日。


小鳥遊さんは大学のあと家庭教師のバイトだから、今日は遅めの夕飯…のはずなんだけど、実は今夏休みだったりする。


と、いうことで、夏休みの間は毎日すぐそこのお店でバイトだそうだ。


私は小さく伸びをする。


眠るときは、パジャマを着ている。


だけど、目をつぶって「可愛いお洋服!」と心の中で唱えると…。


あら不思議、一瞬で着替えが終わる。


いやぁ、幽霊とは便利なもの。


…空想に近いかものしれない。


私は洗面所にいき、洗濯機を回すと、玄関に向かってポストから新聞を取り出す。


リビングに戻ってそれをガラスの机の上に置き、キッチンに行ってパンを用意する。


トースターに食パンを入れて2分にセット。


焼きあがるのを待っている間に、小鳥遊さんの部屋の前に行き、集中する。


ただいまの時刻、6:30ジャスト!


「小鳥遊さん?」


私は触る、ドアを叩く!


-トントントン


よっし、できた!


「小鳥遊さん?時間ですよ〜。」


「…うん、起きてる?」


「寝ぼけてないで起きてください!」


私は胸をなでおろした。


一度、うっかり気を抜いていて、ドアを叩こうとしたらすり抜けてしまったことがある。


小鳥遊さんは「そんなこともあるよ、大丈夫。」と言ってくれたけれど、私からしたら大問題だ。


だから最近はよく念じてからドアを叩くようにしている。


「…でも気合い入れると疲れるんですよね。」


-チンッ


いやいや、そんなこと言ってられない。


私はキッチンへ行き食パンをトースターから出す。


いい感じに焦げ目がついて、美味しそう。


私が机へ運ぶのと同時に、小鳥遊さんが起きてきた。


「おはようございます。朝ご飯できてますよ。」


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