ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
わざとらしく間に割り込もうとして、さり気なくブロックされる。


「純香に取ってもらわなくてもいいよ。後でケイと選ぶ」


ツレない態度を取られたせいか、私の方が睨まれた。


「チェッ。つまんない!」


さっきからこの態度は何!?
なんでこんなに絡んでくるの!?



(あ……もしかして、元カノってやつ?)


ライバルとかそんなの意識したこともなかったけど、今日会ったばかりの私にこれほどの睨みを効かせてくるってことは、ひょっとしてひょっとしなくても、そうだってこと?


(えっ……だったら私、居ない方がこの人の為になる?)


さっきまで帰りたいと思ってたんだ。
すっかり忘れかけてたけど、帰って欲しいんならそうしたっていい。



「ケイ、来いよ!」


ダメだ。それだけはさせて貰えそうにない。

そもそも私、どうしてここへ連れて来られたの?
それも聞いてないのに帰るなんてしていい?



(……とにかく、聞くまで居よう)


慣れない人達ばかりだけど、言われた通り悪い人じゃないみたい。
年齢も職業もバラバラで、服装も皆違う。

さっきのピアスの人は僧侶で、金髪の人はバンドマンだと話してた。
私を睨んだ純香さんは花屋でバイトをしていて、他にもいろんな職業の人が10人くらい来てる。



「皆、祭り好きだからさ」


そう言って笑う人達の中で、多分自分が一番だと言うのが轟さん。


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