ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
(あの時もこうして話をしたんだっけ……)


顔立ちも性格も、通った学校すらも違う私達だったけど、あの頃からずっと親友だった気がする。



(ありがとう…)


ぎゅっと二人の腕を抱きしめた。
谷口との恋が失恋で終わっても、私には大事な友人が二人いる。



「ケイ?」

「どうしたの?」


燥いでた二人が私の顔を覗き込んだ。
涙で潤んでる私は、それを懸命に溢さないよう微笑み返した。


「何でもない。二人に会えて良かったなって思ったの!」


子供みたいでゴメン。
でも、私、二人の幸せも祈ってるから。


「やぁねぇ。今更」

「私達も同じに決まってるじゃない」


小一時間かけてメイクを直してもらった。

マッサージは念入りにしてね…と言われながら、駅前で二人と別れた。


派手なワンピはトイレで着替えた。
先週に引き続き、お金を散財したけど後悔はない。



茜色に染まる街並みを見ながら電車に揺られて帰った。

この街の風景を、谷口と二人で観覧車の中から見てみたいと思う。



(お願い……)


副社長かもしれない人。

どうか私を笑わないでいて……。



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