愛と音の花束を

「間宮さんは3曲ともファーストでお願いします」

終了後、席を立つ前に、三神君が暁に言った。

「1曲くらいセカンドじゃダメかな?」

「すみません。高音を綺麗に出せる間宮さんには是非ファーストをお願いしたいんです」

「……了解。従います」

三神君が予備のパート譜を取りに行くと、暁は私を見て、肩をすくめた。

「残念」

……えっと?
どういう残念、なんだろうか?
セカンド弾きたい曲でもあったのかな?

「結花、この後食事でもどう? 僕がいなかった間のオケのこと、聞かせて?」







2人で公民館の外に出る。
夜空を見上げたのは2人同時で、お互いそれに気づいて、少し笑った。
昔も、そうだったからだ。

「何食べに行こうか?」と暁。

「新しいお店、たくさん増えたよ」

「そうみたいだね。こっちに帰ってきたら前よりずっと発展しててびっくりした」

「住んでてもびっくりするもの」

「結花が行っておいしかったお店でいいよ」

「やっぱり和食系がいい?」

「うん。ハンバーガーとサンドイッチは当分遠慮しとく」

その言葉に、椎名と練習後一緒に食事に行って、ハンバーガーとサンドイッチを食べたことを思い出した。

たくさん話をした。
あの時間、私は彼を独占できた。
なんて贅沢な時間だったんだろう。
あの時好きだと気づいていたら。

胸がギリっと痛む。

大丈夫。いつか慣れる。または消える。


「……結花?」

「あ、ごめん、どこがいいかなって考えてて。遅くまでやってて、日本ならではで、胃に優しいもの……」



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