愛と音の花束を
激しい曲は静まり、『子守歌』へ。
火の鳥が魔王一味を眠らせる場面。
ファゴットが、ゆったりとした神秘的な魔法のメロディを奏でる。
セカンドヴァイオリンは伴奏。途中からディヴィジョン。表と裏、つまり同じ譜面台を見ている人右と左に分かれて弾く。
椎名は、シャープ・フラット・ナチュラルが入り乱れる臨時記号にもしっかり対応できてる。
彼が1人で弾くことに不安はなかった。

最後の『終曲』。
引き続き静かな雰囲気の中でホルンがドルチェ&カンタービレでテーマを吹く。
テーマはファーストヴァイオリンに移る。セカンドはディビジョンのまま伴奏。
裏の椎名ときれいにハモれることが楽しい。

曲はだんだんテンションが上がっていく。
王子は魔王を倒し、無事に王女と結ばれるのでした、めでたしめでたし、の華々しいエンディング!
セカンドもメロディが弾けておいしい!

クライマックスは全員でテーマを奏でる。
混沌とした世界を乗り越えた上での、このシンプルさ!
気持ちいい!
これぞカタルシス!
ストラヴィンスキーこそ魔法使いだと思う!

弦楽器は四分音符を全弓(弓の端から端まで全部使うこと)でバリバリ弾く。こういうところに基礎ができているかどうかが如実に出る。
椎名は弓が綺麗に同じところを行ったり来たり。右手の手首も指も滑らかだ。
その姿は、同じヴァイオリン弾きとして、理屈抜きにカッコいいと思ってしまうほど。

……すごいなぁ。うまくなったなぁ。と、素直に感嘆。

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