愛と音の花束を

盛り上がって、ジャーン!と終わると、みんなの間に、おー、楽しい!の雰囲気が漂った。


周りがざわめく中、半ば呆然と椎名を見る。

彼は気を遣ってトップサイドに座ったのではない。
弾ける自信があって座ったんだ。

そして、本当に弾き通してしまった。

……ここまでの彼の努力に、胸が熱くなる。

すごい。
尊敬。

そして、私はひとり孤独な戦いを覚悟していたのに、一緒に弾いてくれて、すごく心強かった。

何て伝えようか考えていると、羽生さんと三神君の話が終わり、再開の雰囲気が漂った。

結局短く、
「ありがとう。助かった」
とだけしか声をかけられなかった。

それでも彼は嬉しそうに笑う。

その笑顔はキラキラ輝いていて、眩しくて。

……私は目を逸らし、譜面を睨む。

……胸が軋むのを押し殺しながら。










< 263 / 340 >

この作品をシェア

pagetop