愛と音の花束を

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あっという間に2月。
選曲委員会を重ね、秋に行われる記念演奏会の曲目が決定した。

今週末にアンサンブルコンサートを控えた水曜日。
本日、団員に正式発表される。

練習終了後、団長が指揮台に立った。

「記念演奏会の曲目が決定しました! まず、はっきり言いましょう、重いです! お客様からの、『え〜大丈夫?』の声が聞こえてくるくらいに重いです!」

みんなが笑う。

「でもみんなでここまで積み重ねてきたもので立ち向かえば、行けるはずです!」

あ、あつい。さすが団長。

「では発表します!
2曲プロです。
前半、ブラームスのヴァイオリン協奏曲、ソリストは設楽龍之介氏!」

おお〜、というどよめきとともに、ヴァイオリンチームからは拍手が起こる。間近でプロのブラコン見られるのだ、ヴァイオリン弾きとしては垂涎もの。

「後半は、マーラーの交響曲第1番!」

おお〜、やった!ひゃ〜、まじ?など、反応は様々。
マーラーはマニアがいる一方、アマオケが安易に手を出すと大怪我する作曲家のひとりだから。

「どちらも難曲です! 今週末のアンサンブルコンサートが終わり次第、各自早めに対策始めるように!」



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