愛と音の花束を
6
次の練習日。
内心ドキドキしながら公民館に向かった。
だけど、恐れていたような、団長その他からのコンミスやれ攻撃はない。
いつも通り。
拍子抜け。
前半のシェヘラザード、やっぱりコンマスソロは素晴らしくて。
コンチェルト、多くの人に聴いてほしいし、私自身もちろん物凄く聴きたい。
代わりのコンマス候補……と探してみる。
佐藤さん。40代女性。家庭と仕事が忙しくて休みがち。
小野寺君。30代後半男性。入団して間もない。内向的すぎる性格の上に身体が弱い。
山口さん。30代後半女性。独身だけど全国を飛び回る仕事をしているため休みがち。
望月さん。20代半ば。若くて荷が重いか。あと何歳か年をとっていたら。
うちのオケのヴァイオリンはそこそこレベルが高いと言われてるけど、実はコンマス候補となると人材不足なのか。
独り身で、時間の調整がきいて、健康で、在団歴の長い私が断るのは、ワガママなんだろうか。
