愛と音の花束を
「まあ、考え方の癖なんてそうそう直せないものだけど、行動なら修正しやすいよ。前にも言ったでしょ。褒められたら、ありがとうって笑えばいいの。そのうち、あーそっか、って素直に受け入れられるようになるよ」

明るい口調で笑いながらそう言う。
ギクシャクした雰囲気が和らいだ。

……負けた、と思った。

この男は思っていたよりずっと奥深くて大きい。
自分より、ずっと。

「さ、食べよ」

「すみません、ソフトクリーム溶けちゃいましたね」

「いーのいーの。これはこれでおいしいから」

ああ、このお店に来たことあるんだ、と思った。
きっと彼女がいるんだろう。
こんな気遣いができる男だ、いて当然。

あ。本来の目的を思い出した。

「すみません、それで、相談というのは」

椎名は大きく切ったデニッシュパンを頬張りながら、「んー」と言い、コーヒーを飲んだ。

「もう解決しちゃった」

「は?」

「ありがとう。助かった」

……意味がわからない。

私からしたら、こんなわけがわからない男を彼氏にしたくない。

「たぶん、相談って言語化できる段階に来たら答えは自分の中にあってさ、背中を押してもらいたかったんだ、きっと」


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