未完成恋愛
「ね、久藤真菜ちゃんっている?」

オレは昼休み、この前の女を探して三年の教室をうろついていた。

「あぁ、いるよ。久藤ー!!村上が来てるぞ」

…なんでこの先輩オレの名前知ってんだ?
ちょっと不思議に思ったけど…まぁいいや。やっと探し当てたわけだし。

「…なに?」

彼女は不敵な笑みを浮かべる…

「話しあるんだけど…この前の場所まで来てくれない?」

「いいよ」

彼女を教室から連れ出し、この前話しをした場所へと向かった。あそこなら誰もいないだろうし…。

「話しって?」
「真菜ちゃんさ…ママにチクったりした?岡崎の事…」

「さぁね。何かあった?」

「何も、岡崎は話さなかったし。でも多分、学校にバレたんだ…」

「だから何?」

「真菜ちゃん…ママに間違いだって言ってくれない?」

「なんであたしがそんな事しなきゃなんないの?」

「岡崎が…教師クビにでもなったら…可哀想だ。…ね、オレどうすればママに言ってもらえる?」

オレは岡崎を取り戻す事よりも…まずは彼女が教師を続けられるかが心配だった。

でも諦めた訳じゃない

こいつを何とかして…オレなりに岡崎を助けようと思った。

「付き合ってよ」
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