未完成恋愛
オレは翌日、
花屋へ行って岡崎の為に花を買った。

どんな花が好きだったかわかんないけど…夏の花で花束を作って、その足で中学校に向かった。


「…村上?」

「野田…先生。良かった、夏休み中だから…居ないかと思った」

「休み中もわりと来てるわよ?久しぶりねぇ。いい男になったじゃん」

「えと…あのオレ…」

「…岡崎先生の事聞いたのね?」

「うん…」

「待ってて、荷物取ってくるから。一緒に墓参りに行こう。その為に花束持ってるんでしょ?」

「…うん」


野田先生を待つ間、誰も居ない中学校の玄関で待っていた。

もう…卒業して三年も経つんだな…
懐かしい感じがした。

岡崎に出会ったのも学校だし…今思えば、ここにはたくさんの思い出が残っていた。


思い出は此処に残しておこう


オレが大人になっても忘れない為に
此処に来れば…彼女を思い出せるように



「行こうか」

野田が急いで戻ってきた。
オレは野田に連れられて車に乗り、少し離れた墓地へとやって来た。


「ここが…彼女のお墓よ」

真新しい墓だった。


墓石を前にしても、墓石に刻み込まれた彼女の名前を見てもまだ…オレは実感できずにいた。
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