きみのおと


「でも、千秋くんが同じ痛みを持つ者として、放っておけないっていうのも・・・わかる」

「・・・」

「それでも・・・。千秋くんが皐月ちゃんの話をきくことで、千秋くん自身の過去を思い出して苦しんでるんじゃないかって思ったら・・・それも嫌な理由」

「・・・しぃちゃん」



悪夢にうなされる。
最近頻繁に見る悪夢。

鮮明にあの頃の気持ちを一気に連れ戻してくる。
その原因はきっと、いじめ、というものに触れたから。



「でも、それだけじゃなくて・・・。嫉妬してるの」

「え?」

「ヤキモチ・・・妬いてるんだぁ」

「しぃちゃんが・・・?」

「うん・・・。私には、なかなか打ち解けてくれなかったのに。皐月ちゃんにはさ、中学の頃の話再会してすぐしたんでしょう?・・・私とは関わった時間も濃さも違ったのかなって」




え・・・・・・・・?
僕は、しぃちゃんの言葉に息が詰まる。

なんで、そんな、だって。



「話して・・・ない・・・」




だって、そんな話、してない。




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