きみのおと
確かめないと。
ちゃんと、本人に。
本人に確かめる前に、決めつけたらだめだ。
だって僕自身がそうされてきた。
決めつけられて、いじめられて。
理不尽な思い、たくさんした。
「今日は、一緒に帰るからね」
「・・・しぃちゃん」
授業が全て終わると、しぃちゃんがすぐに僕のところにやってきた。
昨日勝手に帰った前科があるからだろう。
「ね、柊二くん!」
「あ?俺もか」
「え、帰らないの?」
「逆に、俺も一緒でいいのかよ」
「いいよ。ね、千秋くん」
「う、うん」
でも、僕は今日・・・。
でもわかってる。
しぃちゃんは、僕の様子がおかしいことに気づいてる。
きっと僕を思って、深く聞かないでいてくれているけど。
心配して、僕を一人にさせないようにしてくれてるんだ。
やっぱり僕は弱くて。
簡単に人は変れないんだ。
弱くて、狡くて、なんてかっこ悪い。
「あ、皐月ちゃん!」
校門に近づいたところで、しぃちゃんが叫ぶ。
ビクッと肩を震わせ、僕も校門の方へ視線を向けた。