きみのおと


そこに立っているのは、いつもの通り、包帯と頬にガーゼ姿の皐月ちゃん。
これが、嘘だっていうの・・・?

でも、どうしてそんなウソ・・・。




「なんでちーくんだけじゃないの?私はちーくんだけがいいって言ったのに!」

「誰にでも話せることじゃないのはわかるけど。あなたの話をきくことで、千秋くんが苦しむことが嫌なの。だから、私が首を突っ込んだの」

「ちーくんのことは私が一番知ってるもの!わかったようなこと言わないで!」

「知ってるなら尚更、千秋くんが昔の事思い出して辛い思いするかもって思わなかったの?」




ああ、また僕は護られて。
本当は僕だって。

大好きな人をこの手で護りたいって想いくらい持ってる。
全然男らしくなんてない僕だけど。
それくらいの気持ちくらい。


それなのに。
現実は残酷で。

男の僕が、護られてる。



「お前さ、なにがしたいの。自分はいじめられてるこんなに可哀想だって、千秋に見せて同情引きたいわけ?」

「うるさい、あんたには関係ない!」

「ずいぶん口悪いのな?最初会った時、そんなだったか?」

「っ、う、煩いわよ!あんたたちがむかつくことばっか言うから!」

「正論だろ」



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