きみのおと


そして、そんなしぃちゃんをいつも護ってくれるのは、柊二くんで。
僕じゃない。




「・・・ねぇ皐月ちゃん。そのガーゼと包帯、外してみせてくれない?」

「え・・・?ちーくん?」

「本当に、怪我してるなら・・・見せてくれるよね?」




頭が痛い。
クラクラして気持ち悪い。




「な、んで・・・」

「学校に行って、クラスメイトに聞いたんだよ。怪我なんて、してないって・・・。いじめなんてないって」

「え?千秋くん?それ、本当・・・」



驚いたように僕を見たしぃちゃんが一瞬、目を見開いた。
ああ、僕は今、どんな顔をしているんだろう。




「・・・ちーくんがいけないんだ」

「は?皐月ちゃん?」



囁くような皐月ちゃんの声に、僕に向けていた視線をしぃちゃんはそちらに向けた。



「ほんとは私が、傷ついたちーくんを助けてちーくんのヒロインになるつもりだったのに」

「・・・何言ってるの?」



するすると包帯が外されていく。
そこから見える、綺麗な肌色の腕。




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