きみのおと


「雫さん!」



千秋くんのお母さんが顔を青ざめさせて駆けつけてくれた。
私は申し訳ない気持ちで迎える。



「ごめんなさい、ごめんなさい、お母さん、私が側にいたのに・・・」

「そんな。雫さんのせいなんかじゃないわ・・・。雫さんは、あの子にたくさんのものをくれたの知っているもの」




お母さんだって不安で心配で押しつぶされそうなはずなのに、私を気遣ってくれる。



「それで、ちーくんは・・・」

「それが・・・」



私は、表情を陰らせる。
千秋くんは病院に運ばれてしばらくして目を覚ました。



でも・・・。




「声が・・・出ないみたいなんです・・・」

「え・・・」





言葉を発することが、できなくなっていた。
以前の、千秋くんが自分の意思で言葉を話すことをやめていた時とは違う・・・。

ストレスからくる心因性失声症ではないかと、お医者さんに言われた。



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