狼な彼と赤ずきん
「ごめん。俺の勘違いで、赤ずきんの初めて、奪ってしまった」



うなだれる狼。


私は彼に抱きついた。



「いいの。私、狼さんに触れられて、本当に嬉しかったから」



無造作にはねた彼の髪にキスを落とす。



「ねえ狼さん……どうして、私のこと避けてたの?私、狼さんに嫌われてるって思ってた。だから、狐さんにどうしたらいいか相談したの」



彼を見つめ、本音を話そうと口を開いた。



「それとも、今でもやっぱり、私のこと嫌い……?」



私の不安そうな言葉に、狼は「とんでもない」と首を振る。




「お前を避けてたのは、申し訳ない。でも、俺はお前のことが嫌いだったわけじゃないんだ。ただ……」
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