狼な彼と赤ずきん
狼さんとの愛の形
「お前……」


すべてが終わってしまってから、狼は私を見つめて首をかしげた。


気まずそうに、口を開く彼。



「お前、その……初めて、だったのか」



私は、こくんと頷いた。


これまで生きてきて経験したこともないこの行為が何だったのか、今でも正確には理解していない。


彼はため息をついた。



「じゃあ……狐と、こういうことしたりは」



「してないよ、こんなこと」



私は即答した。


狐のことは好きだけれど、狼に対して抱いている感情とは違う。


きっと、今の行為を狐とすることになったら、私は拒絶するだろう。


相手が狼だから、肌を暴かれても、触れられても、抵抗しなかったのだ。



それどころか――こんなにも彼に激しく求められて、今まで知らなかった彼の姿を見ることが出来て、幸せに思っている自分がいる。
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